幻の急行列車
 
★急行列車登場!
 アストラムラインに1999年3月20日のダイヤ改正により急行列車がお目見えしました。運転初日には新しく導入された1000系電車が初めて使用され、それもまた目をひいたものです。車内には色紙で作った飾りが取り付けられ、華やかなデビューとなりました。
 急行列車デビューを記念して、当時利用されていた交通カード「アストラムカード」に記念カードが発売されました。

★所要時間
 本通駅〜広域公園前駅の所要時間は各駅停車で36分かかっていましたが、急行列車では25分と11分も時短で走り抜けていました。私も時々利用しましたが、駅を通過する時には何とも言えない優越感のようなものを覚えた記憶があります。駅通過は減速しないで突っ切っていました。停車駅は、本通・県庁前・大町・上安・長楽寺・大塚・広域公園前の7駅です。

★ダイヤの工夫
 急行列車をスムーズに走らせるために、2000年のダイヤ改正で急行便のすぐ前の便を大町駅まで運転し、一旦その便を引上げ線に入れ、急行便が追い越せるようにダイヤを組みました。急行便が通った後に引上げ線から列車を出し、上りは大町駅発本通駅行き、下りは大町駅発広域公園前駅行きとして走らせていました=緩急接続。(大町駅から本通駅までの区間に引上げ線が無いため、前の列車を追い越すことができないのでこの体制を取られましたが3年で廃止となってしまいました) ※下の時刻表「図1」参照
 2003年のダイヤ改正では、急行便の1本後の列車のすぐ前に発車させ、1本前の列車が終点に到着したすぐ後に到着できるようなダイヤを組まれました(途中追い越し無し) ※下の時刻表「図2」参照

★運行時間帯
 上記のようにアストラムラインは大町駅と広域公園前駅にしか引上げ線がありません。そのため他の駅での追い越しができないので、列車の運転間隔が短い早朝通勤時間帯には走らせることができないのです。
 1999年には比較的運転間隔が長くなった午前9時半から10時半頃に1往復、平日のみ15時から16時頃に1往復を運転、2000年には午前9時半から10時半頃に1往復、平日のみ15時30分から16時30分頃に1往復、平日の下りのみ19時から19時半頃にかけて1本を運転しました。2003年には平日の午前9時半から10時半頃の1往復のみとなってしまいました。

★急行列車の廃止
 遂に2004年のダイヤ改正で急行便は廃止されてしまいました。上記のようにダイヤ編成が難しかったことや利用者が少なかったことなどが廃止の要因になったのではないでしょうか。追い越しの難しい路線で急行便に挑戦した広島高速交通さんには心から敬意を表します。
 華々しくデビューしたものの5年で役目を終え、今では幻となった急行列車の少し切ないお話でした。最後までお読みいただきありがとうございました。
 

図1 急行列車の追い越し時刻表 2000年〜2002年





図2 急行列車の追い越し無し時刻表 2003年



駅ホームの案内表示 もう二度と見ることのない急行表示です



扉には「急行」の案内板が付けられました。窓枠にアルミ製のホル
ダーを付け、そこに案内板を差し込んでいました。どの編成が急行
運用になってもいいように全車両にホルダーが付けられていました





2003年3月20日撮影