方向幕・系統表示今昔

 広電電車の長い歴史の中では車両や設備などに色々な変化が見られます。方向幕(行先表示器)や系統表示もその一つです(広電では○号線と呼んでいます)
 方向幕と系統表示板は行先と経由地を判断するための大切な表示です。板式・手回し式・電動式・前面側面連動式・LED式と機械の進歩などに合わせて方向幕も進歩しています。
 幕式の方向幕では色を工夫することで遠くからの視認性が上がりました。LED式では色の工夫はできませんが、いろいろな情報を表示しやすくなり、乗務員さんの作業も軽減されています。LED式でもある程度の色の工夫もできますし、さらに液晶式になると色と情報量も増やすことができるでしょう。

 ここでは私の数少ない写真ではありますが、その変化についてご紹介したいと思います。懐かしんでいただけると嬉しいです。
 
  ・大きさの変化
  ・系統表示板の遍歴
  ・表示内容の遍歴
  ・デジタル技術の利用
  
< 大きさの変化 >
 広電では1979(S54)年に竣功した元京都市電の1900形から大型の電動式方向幕が導入されました。徐々に更新され、現行の旧車はすべて大型化されています。900形は元々大きめの方向幕になっていましたので、そのまま利用されています。

小型方向幕の時代
小型方向幕

大型方向幕の導入は元京都市電から
大型方向幕

900形は元々大きい方向幕を採用していました
900形の方向幕

3500形からの新車は特大型方向幕です
特大型の方向幕 3500形

700・800形等の新車は3500形を継承し特大型です
・700形一次車(701~704)は少し細めでした(写真:右)
特大型の方向幕 700形 800形
 
 < 系統表示板の遍歴 >
 系統表示板はダイヤ形から丸形に変わりましたが現在は方向幕に系統番号を併記したために廃止されました。系統併記開始後もしばらく丸い系統板も併用されていました。

再び登場の766号、ダイヤ形の系統板時代
ダイヤ形系統版

丸形になった系統板
・1997.05撮影
丸形系統版

方向幕内系統併記と丸形系統板の併用時代
・2001.10撮影 広島港の懐かしいホームです。
丸形系統版併用

下の写真はちょっとイレギュラー?
・方向幕は1系統、系統板は3系統、はたしてどちらが本当なのかな?
丸形系統版併用

丸形系統板
・6系統は黄色地に黒文字でした。
・当時7系統はありませんでした。
・宮島線直通には付けられていませんでした。
丸1系統丸2系統丸3系統丸5系統丸8系統丸9系統丸広電前

系統板廃止後現在の様子
・系統板取付金具は残されPASPY案内が貼られています。
・2016.11撮影
系統版廃止後

700形・800形は導入時から系統番号が併記されたため、系統板は設置されませんでした。
・2001.10撮影
系統番号併記
 
 < 表示内容の遍歴 >
 表示内容では、見えにくかった起終点併記式から終点のみを大きく記す方式(一部は経由地併記)に変わり、現在は系統番号と終点・経由地併記に変わっています。書体や色を工夫して遠くからでも視認しやすくなっています。

起終点併記時代 (見えにくいですが「横川-江波」)
起終点併記

終点のみ記載 ローマ字表記無しの時代
・市内線は丸形の系統板を併用していました。
終点のみ記載 ローマ字表記無し1終点のみ記載 ローマ字表記無し2

終点のみ記載 ローマ字表記ありの時代
・市内線は丸形の系統板を併用していました。
終点のみ記載 ローマ字表記あり1終点のみ記載 ローマ字表記あり2
終点のみ記載 ローマ字表記あり3終点のみ記載 ローマ字表記あり4
終点のみ記載 ローマ字表記あり5終点のみ記載 ローマ字表記あり6

丸形系統番号併記時代
・旧車は丸形の系統板を併用していました。
・700形800形は方向幕に丸い系統番号を併記しました。
・側面(回転幕式)にはローマ字がありません。
・比治山下経由以外の経由地は記されていませんでした。
・1982~2001年頃
    < 正 面 >     < 側 面 >
1号線丸併用
3号線丸併用
3号線丸併用
5号線丸併用
5号線丸併用
6号線丸併用
6号線丸併用
3号線丸併用板中扉
5号線丸併用板中扉
5号線丸併用板中扉
3号線丸併用電動中扉
5号線丸併用電動中扉

終点・経由地・系統併記をしている現在の方向幕
・側面(回転幕式)にもローマ字が記されました。
・旧車の丸形系統板の併用は無くなりました。
    < 正 面 >     < 側 面 >
1号線経由地併記
1号線経由地併記
2号線経由地併記
2号線経由地併記
2号線経由地併記
2号線経由地併記
3号線経由地併記
3号線経由地併記
3号線経由地併記
5号線経由地併記
5号線経由地併記
6号線経由地併記
6号線経由地併記
7号線経由地併記
7号線経由地併記
8号線経由地併記
8号線経由地併記
9号線
9号線
3号線経由地併記板中扉
3号線経由地併記板中扉
5号線経由地併記板中扉
9号線経由地併記板中扉
9号線経由地併記板中扉
広電本社中扉板
広島港中扉板
日赤病院中扉板
横川中扉板
1号線経由地併記中扉
1号線経由地併記中扉
2号線経由地併記中扉
2号線経由地併記中扉

回送・貸切・試運転や路線の途中を終点とする場合に「0」と表示します
0号線経由地併記0号線経由地併記
0号線経由地併記0号線経由地併記
0号線経由地併記
 
 < デジタル技術の利用 >

 LED式行先表示器で導入された5100形・1000形に続き、幕式だった5000形もLED式に更新されたため、LED式車両が増えてきました。
 車内放送・車外放送・運賃表示器・行先表示器が連動して動くことで、案内内容の充実や乗務員さんの作業軽減などが図られました。
 車外放送と行先表示では、通過した経由地はそれ以降の駅では放送・表示から自動的にはずされます。放送・表示が簡素化され利用者に優しい案内となります。デジタル技術の活用はこのような大きな恩恵をもたらしています。

LED表示の様子です(写真は一例です)
・LEDは写しにくく、画像が見づらいことをお許しください(高速シャッターではしましまに写ってしまいます)
・同じ行先でも経由地通過後に表示から削除されるので、複数のパターンが存在します。
1号線:
 広島港←→市役所前←→紙屋町東←→広島駅
1号線LED 広島港→鷹野橋
1号線LED 市役所前→本通
1号線LED 紙屋町東→広島駅
1号線LED 広島駅→立町
1号線LED 紙屋町東→中電前
1号線LED 市役所前→広島港

2号線:
 宮島口←→原爆ドーム前←→紙屋町←→広島駅
 宮島口行きには経由地が記されていません
2号線LED 宮島口→本川町
2号線LED 紙屋町→広島駅
2号線LED 広島駅→宮島口

3号線:
 広島港←→市役所前←→紙屋町西←→西広島
3号線LED 西広島→原爆ドーム前
3号線LED 市役所前→広島港

5号線:
 広島港←→比治山下←→広島駅
5号線LED 広島港→比治山橋
5号線LED 比治山下→広島駅
5号線LED 広島駅→段原一丁目
5号線LED 比治山下→広島港

7号線:
 横川駅←→紙屋町←→市役所前←→広電本社前
7号線LED 横川駅→原爆ドーム前
7号線LED 市役所前→広島港
7号線LED 市役所前→本通
7号線LED 紙屋町西→横川駅

9号線:基本は白島~八丁堀ですが一部が江波まで運行します(平日6便、土日祝5便)
 白島←→八丁堀←→紙屋町←→原爆ドーム前←→江波
9号線LED 白島→立町
9号線LED 紙屋町東→江波

回送・貸切・試運転や路線の途中を終点とする場合に「0」と表示します
0号線LED0号線LED
0号線LED